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"咲いてく" ~sitec~

有限会社サイテック
代表 大塚秀樹

私がフラワーベッドと木製フラワーベッド・ベースをつくる訳

私がガーデニングを行い、フラワーベッドを作っている経緯を説明致します。

景観
私は学校を卒業した当時、全くなじみの無かった"景観の仕事"に就きました。
景観製品を製造・販売する会社に入社したのですが、私がこの会社に入ったのは景観の仕事をするためではなく、実はモーターボートを作りたいと思ったからなのです。
この会社は元々は椅子をつくるメーカーだったのですが、その設備にFRPをつくる部門があり、それを利用した製品作りも展開していたのです。
FRPとは衝撃や曲げに弱いプラスチック素材にガラス繊維を混ぜ合わせて強度を得る強化プラスチックです。
この会社で製造するFRP製品はモーターボートの他に自動車部品、プランターなどがありました。

当時、社会の方向性から景観整備の事業が拡大し、この会社でも景観部門が成長していたのでした。
反対にFRP事業は社会の方向性から減少する方向にありました。
FRPの製造には幾つかの方法があるのですが、モーターボートやプランターを作る方法は有害な溶剤を使用します。
溶剤に溶かした樹脂成分とガラス繊維を幾重にも重ね合わせて成形します。
防毒マスクは装着しなければならない規則になってはいますが、作業員がこの素材を幾重にも重ねて製作します。
これに使用する有害な溶液はいわゆるシンナーの類で、特に脳に重いダメージを与え、後遺症で苦しむ人もいました。
当時の厚労省の厳しい指導があり、FRPは事実上国内で製造することが困難になりました。
会社はモーターボート事業を廃止、プランター製造も廃止しました。
この会社がこの手のFRPの製造を中止したのは社会の流れに沿ったものでありました。

しかし、景観産業での需要が多いFRPプランターは他のメーカーから仕入れて販売する方法に変わりました。
他社とは国内での製造を止め、中国で製造するメーカーです。

さて、私はそのメーカーで仕事を始めたのですが、大阪の街の中を歩くと、汚れた白いプランターが非常に目立ちます。
黒い煤(すす)がこびりついていたり、有機質がついた黴(かび)などの汚れで綺麗とは言い難い見栄えです。
それはそれとして、角が欠けたり、ひび割れが出ていたり、最も酷いのは大きく割れて内部の構造が露出しているものもありました。
FRPのプランターは1,2年は白くて綺麗に見えるのですが、3年目から汚れが非常に目立ち始めます。
仕事に就くとき景観の知識を持たない私は、「景観というのは街の中を綺麗にする仕事なのだ」と教わって始めたのですが、自分たちが販売している商品が景観を壊しているのではないかと感じたものです。
しかし、あとで分かったのはそう感じていたのは私だけではなく、他の多くのデザイナーも同じだったようです。
不思議なことに問題意識を持っているときには、何処からかそのことについての回答を求める声が上がるものです。
あるとき顧客からも耐用年数の考え方を問われました。
それを受けて製造部門に聞いてみたり、景観設計の専門家に話を聞いたりしたことがあります。
殆どの人の意見は、「FRPの景観製品は好ましいものではないが、他に良いものがないからそれを使っているだけだ。」という考え方でした。

あるとき大阪生まれ大阪育ちの支店長代理と車に同乗する事になり、そのことが話題になりました。
支店長代理は、
「日本人は家でも道具でも、なんでも木で作ってきたんや。
だからプランターみたいなもんもほんまは木で作るほうがいいんやけどね。
そやけど工業化と均一性で稼ぐ会社では木ではつくれんからなぁ。
見てのとおりうちの工場でも木で作った椅子はクレームだらけや。
みんな均一性を求めているんや。
ほんまは違うんやけどね。
まあ、貴方も将来機会があったら木で作ってみるといいんちがうか。」
などというなだめ話をしてくれました。
この話はこのような締めで答えが出せずに休止しました。


木材の需要
それから何年か経ち、日本では熱帯雨林産の高耐久性木材を輸入して水上デッキなどをつくる事業が盛んに行われました。
ウォーターフロント整備事業、水環境整備事業などの国庫補助事業です。

これらの事業では始めは北米産の針葉樹を使用していました。
この当時は、戦後の大量需要で日本の森林は皆伐(かいばつ)され、まだ使える材料が揃わないのが原因と言われていました。
しかし、旺盛な需要は北米の森林破壊を引き起こします。
カリフォルニアレッドウッド、レッドシーダー、ダグラスファーなどがその対象でした。
米政府は森林保護の立場から天然木の伐採の禁止処置をとります。
これが施行されると以前とは異なり植林された小径の木材から材料を取らなければならず、品質は以前よりも下がりました。
市場に出回る木材の絶対量は不足し価格が高騰します。

日本の企業は価格が低い産地を探し求めアフリカに行きます。
またそのライバルの会社は東南アジア、オーストラリア、南米へと求めます。
世界の熱帯雨林の木材は日本の需要によって買いあされるのです。
やがて欧州のNGOは熱帯雨林の破壊は日本にあることを突き止め、これを止めさせるために非難声明を発し始めました。
「日本人は自国の森林資源を使わず、海外の森林資源を荒らしている。」ということです。
残念なことにこの非難は当たっていて、日本人は現在でも公共事業で国産木材を使用することを拒みます。
NGOの非難を受け、国の機関は公共事業に熱帯雨林産の木材を使用することを止めます。

熱帯雨林産木材に変わって台頭してくるのはプラスチックとオガクズを混ぜ合わせた人工木材です。
プラスチックは素材として冷たくて無機質な感じがするので、樹脂に木材を混ぜ合わせることで温かい感触にしたというのです。
またプラスチックとオガクズを混ぜるのはエコだといい、その理由は廃材のオガクズを再利用するからだというのです。
マーケッティングということなのでしょうか。
人工木材を作ったメーカーがイデオロギーまで作ってしまい、多くの人々はそれを信じています。
本物の木質は人が進化の過程で触れてきたので、その感触は脳の奥深いところで覚えています。
このことは木質に変わるものが出来ないという理由のひとつです。

熱帯雨林産木材の次は人工プラスチックということになりましたが、 ここでも日本の木材を使用することを拒みます。
日本人の多くは木材の耐久性ばかりしか見ていません。
だから自国の木材はひとくくりに劣っていると考えています。

問題は日本の木材産業にも原因があります。
林業は黙っていても国や行政から補助金をうけていられるからなのかもしれません。
彼らは人工木材が拡大している場面でも、自分たちの扱う木材の優位性を説得することを全く行いません。
それどころか積極的に人工木材の取り扱いを行い、クレームのない楽な商売だと歓喜に浸ってしまいました。


ガーデニング
さて、1990年代中期ころからガーデニングという言葉を聞くことが多くなりました。
国際花と緑の博覧会が大阪で盛大に催され、世界の庭園が紹介された影響も大きかったと考えられます。
戦後から経済が成長し続け、国が豊かになるという長年の目標に近づいたという達成感もあるかと思われます。
ガーデニングは自然風の庭を作ることだという説明で拡がりました。
私はこの説明になかなかピンと来ませんでした。 いままで日本人が行ってきた園芸だって自然を相手に行っているのだがはて?
ガーデナーという人は古い家具や壊れた道具を集めて庭に置いていたのを覚えています。
都市の中で新しさを求める景観作りというものとは異なります。
なんだかマニアックだなと思っていたものです。

このころ景観メーカを退社します。
会社を設立してから業務でガーデニングの仕事を受けました。
その一つに石狩市の公園の一部に見本ガーデンを作るという業務に参加させてもらいました。
ガゼボ、トレリス、パーゴラなどの施設です。

このガーデンが完成した頃、私が協力した施設作りとは全く異なるところで見たこともない花壇に見入ってしまいました。
大きくて真っ赤に生える大きな花、塔のように立ち上がり青空に生えるオレンジ色の花、山吹色に輝き空に向かって凛と伸びる花、香りのするハーブ、リーフ植物が豪華に植えられていました。
今までこんな花壇は見たことがありませんでした。
ボーダーガーデンというものだということを後で教えてもらいました。 花壇を作るならこんなものを作ってみたいと強く感じたものです。
その後、その花壇の植栽地図を看板にする仕事を受けました。
ガーデンごとの種や品種の数量を表にまとめ、そのあと地図に落とし込んでいくものです。
ボーダーガーデンの他に、ヒース・コニファーガーデン、ハーブガーデン、ローズガーデン、バルブガーデンなどがありました。
植物の種や品種名はラテン語をカタカナにしたものが殆どで、聞いたこともない名称をキーボードで打ち込む作業は変換も大変でしたが、このことが後のガーデニングにのめり込んでいったきっかけでした。

木質
このガーデン作りの監督は石狩市の佐々木さんという係長で、ガーデンというものをとても親切に説明してくれました。
こんなこともありました。
私は別の公園の業務で金属だけでベンチを作りました。
その話を佐々木さんにするとわざわざ見に行ってくれて、私に問いかけました。
「大塚さん、金属で作ったベンチに座った感じはどうでしたか?」
このベンチは木質で作ると長持ちしないからという理由で、全て金属で作って欲しいという依頼を受けて製作したものです。
こんなものだろうと思っていたのですが、改めて聞かれたのでまた座ってみました。
金属の上に座るのは冷たくて、積極的に座ろうという気持ちにはなれません。
ひやっとする感覚を予感しながら座ってみます。 座ると冷たさや無感覚さを覚えます。

「大塚さん、少なくともベンチの座る部分は木で作るものですよ。」
と教えてくれた佐々木さんの笑顔は、木質に触れる度に思い出します。

プランター作り
石狩市のガーデン作りが終わった頃、他のガーデンで木質のトレリスを作らせてもらったことがありました。
オーストラリアのヒバ系の針葉樹です。 耐久性が高いのでこれを撰びました。
日本産の樹木で撰べば良かったのですが、国産の木材は販売経路が分かりません。
積極的に売ろうとしていない部分もあるように思います。

また、高耐久の北米産針葉樹を使ってプランターを作らせてもらったこともあります。
これが木製プランターをつくる最初のきっかけでした。

これを作ったとき、以前大阪の支店長代理が語ってくれた言葉を思い出しました。
『日本の都市には木材で作ったプランターが似合う』という言葉です。
例えば、日本的景観が美しい京都にプラスチックのプランターが置いてあるとどのように感じるでしょうか?
歴史ある日本中の街々にプラスチックは似合は似合わないのではないか?

いま、日本は観光を産業の柱に据え、これからもその魅力を引き上げようとしています。
街の魅力度を上げる必要があるのにプラスチックを使用していることには考えさせられます。?

いま、木質プランターを製作して9年ほど経ちます。
試行錯誤のすえ素材を撰び、作りを研究して改良し続けています。
見えない部分の改良も常に行っています。
ポットや花壇フレーム、レイズド・ベッドテーブルなどを統合し、フラワーベッド・ベースと銘々しました。 都市におけるガーデン作りの基礎として使用しやすい製品に発展させています。

国産木材の事情
日本の山々を支える森林組合は木材需要の減少でどこも崩壊状態だといいます。
このことは木材産業の問題であると共に、日本に住む人たち全員の問題です。
地域経済と都市経済はバランスをとりながら日本を支えています。
その関係を維持するためにも日本の木材を使用したいと考えています。
様々な種類の樹種から適材適所の素材を選択し、それぞれに見合う製品作りを行います。

これからも経済発展と環境の持続性のことを前提として、ガーデニングを拡げ、効果的な結果を出せるガーデン作りを行っていきます。

皆様方、どうぞよろしくお願い致します。

有限会社サイテック 代表 大塚秀樹


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